どの病気も早期発見、早期治療
どの病気も早期発見、早期治療に限ります。病気によっては、治療しない限り、勝手に良くならないことが多いです。しかし、早期に発見され、早期に介入して、ちょっとした薬で手助けすると、いとも簡単に改善することがあります。
というのは、病気になるというのは、体がある意味、悪循環に陥っているときだと思っております。例えば、糖尿病の場合。肥満→内臓脂肪・皮下脂肪が増加→特に、内臓脂肪(脂肪肝・脂肪筋)の付着のせいで、炎症性サイトカインが増加→インスリン抵抗性を惹起→インスリンがたくさん分泌される→増殖・成長因子としても働き→肥満(また、原点に戻ってしまう)。この悪い循環、負のスパイナルループは、一旦形成してしまったら、あっという間に、病気の発症(この場合は、糖尿病)につながる。大概の内科の疾患、みんな、このような形式を取って病気が完成しています。
なので、どこかで、何かで、このループを断ち切らないと、なかなか治らなくなります。そこには、薬剤の介入、そして、食事療法・運動療法の介入などが良いと思います。何かをして、この現状を打破していかないと行けないです。逆に、一旦、この悪いループが断ち切られたら、体が回復し、元通りに戻ろうとします。これは、医学でいう「ホメオスタシス(恒常性維持)」に当たります。体は、常に、一定性、安定性を保とうとしていることです。
体は、沈黙な臓器です。ほとんどの内臓は、知覚神経が少ないので、何かあっても、内臓そのものから「発声」することが少ないので、病気になっても、臓器そのものは、痒くも痛くもないです。周辺の神経を圧迫したりすると、初めて痛みとして、感じますが、部位は、必ずしても同じ場所ではないです。例えば、心筋梗塞が発作するときに、胸部痛、胸部の絞扼痛、圧迫痛として感じることが多いですが、場合によっては、下顎の神経や背部の神経も関連して痛みを感じることがあります。これは、「連関痛」といいます。なので、研修医のころに教わったのが、心筋梗塞の症状は、心臓を中心に直径50cm四方の連関痛をすべてチェックすることが鉄則をしていた。あるいは、ほかの症状として感じることがありますが、なかなか病院受診のきっかけとして、見過ごされ、タイミングが遅くなってしまいます。
例えば、心不全について考えましょう。体は、車に例えるなら、心臓は、まさしく車のエンジン。心臓もなかなか頑張り屋さんの臓器で、少々のことは、代償して本人に苦情とか不調を訴えないです。なので、早期の場合は、ほとんど気付かないことが多いです。階段で息切れ、動悸、下肢のむくみなどの症状があっても、年齢的なもの、疲れているせいなど誤認されることもあります。検査してみると、意外と初めて分かることが多いです。
重要な検査項目:BNP(採血でわかります)、心電図(不整脈や心臓の虚血があります。)、心エコー(心臓の4つの部屋の動き、血流の流れ、弁膜の動きが可視化)などがあります。
これらの検査をすると、端的に、心臓のことをよくわかります。現在、心臓を保護する薬は、あります。SGLT-2阻害剤の類ですが、心臓と腎臓とともに、改善してくれて、保護してくれる薬です。心臓と腎臓もつながっていますので、心臓が悪いと、腎臓も悪くなりやすいし、腎臓が悪いときは、心臓も悪くなりやすい。これは、心腎関連症候群といいます。SGLT-2阻害剤は、慢性心不全、慢性腎臓病の薬剤で、同時に、まさしく、心腎関連症候群のいい治療薬でもあります。
どの病気も早期発見、早期治療が重要です。早ければ早いほど治療効果がいいですし、後遺症や合併症も残りにくく、早く体が回復したり、元気になります。早期の集中的で総合的な治療がとても良好な治療効果をもたらします。
医学が日進月歩しており、新しい治療方法、新しくて、より優れている薬剤がどんどん出ておりますので、より健康でより元気になっていきましょう。人生100年の時代にこそ、健康寿命を伸ばして、健康で元気で活躍していける時間をどんどん伸ばしていきたいです。